子宮頸がんワクチンって実際のところどうなの?

今年、わたしは丹波市の健康課と協力して市内の中高生に子宮頸がんワクチンに関するメッセージをお届けしました。
内容は「子宮頸がんワクチンはこんなワクチンです。打つなら今がいい時期だけど、あなたも打つことを検討したらどうかな?」というものです。

子宮頸がんって防げるの?
子宮頸がんは、20歳代や30歳代の若い女性が一番多くかかる癌です。治療をしても不妊になったり、小さい子供を残して亡くなる人もいます。そのため、マザーキラーと呼ばれています。この癌の原因の多くはは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染と言われています。HPVはそこらへんにいるありふれたワクチンで、性行為で感染します。
つまり、HPVに感染しないようにするためは、性行為をする年齢になる前に、HPVをブロックしたらいいやん!ということです。そこで登場したのが子宮頸がんワクチンです。
今年の4月から接種可能になった注射は、9種類のHPVに対して効果があります。それにより、90%近くのHPVをカバーできるようになりました。ただ、ワクチン接種だけでは予防は完全ではありません。検診も必ず受けるようにしましょう。

厚労省 HPから抜粋

ワクチンを打ったら効果があるの?
オーストラリアやカナダでは接種率が80%以上と高いです。オーストラリアではすでに子宮頸がんは希少癌となり、その後撲滅するといわれています。
一方で日本では、まだたくさんの若い人が亡くなっています。
ワクチンの効果はあるといえるでしょう。

怖い副反応があるんじゃないの?
これが一番気になることだと思います。2013年に定期接種になったとき、接種後の体調不良が持続する人がいると大きく取り上げられました。その後、いろいろな観察研究がなされ、自然経過で治った人も多いことがわかりました。子宮頸がんワクチン特有の副反応はなく、効果が上回ると判断されました。また、この10年でワクチン自体も進化して、現在のワクチンは副反応の報告も少なくなっています。


わたし自身、2024年の春までに100回くらい接種しましたが、インフルエンザの予防注射より痛くなかった!と喜んでいただいたことも何度もあります。HPVワクチンは筋肉注射なので、皮下注射のインフルエンザの予防注射と打ち方が違います。新型コロナワクチンと同じ打ち方です。でも、簡単に言うと薬のパワーが強く発熱や腕の腫れが必発の新型コロナワクチンと違って、HPVワクチンは打った時の痛みくらいで済む人が多いです。(つまり、注射と一言で言っても、打ち方、中身でいろいろあるのです。)


AED講習会で中学2年生と接した時、わたしが担当した班の女子生徒たちにHPVワクチンを打ったかどうか尋ねてみました。4人に1人くらいは「打った!」とか「夏休みに打つ予定」と教えてくれました。残りの3人は「それ、なに~?」とわたしやすでに知っている同級生に聞いていました。それを聞いた男子生徒も「僕は打たないの?」とわたしに聞いてくれました。知ること、興味を持つことのとってもよい機会になったと思います。それを中学高校の全クラス、全学年、全校に広げられたらと強く思いました。
今までもインフルエンザの予防接種や花粉症などで来院された接種年齢の女子生徒には、ひとりひとり子宮頸がんワクチンのパンフレットをお渡しして、家族で話し合ってみてね、とお話してきました。
そんな中、今回のように丹波市医師会と丹波市健康課の協力を得て、わたしの思いをくみ上げていただいてとても感謝しています。

丹波市HPに、高校生用のメッセージが掲載されています。
https://www.city.tamba.lg.jp/soshiki/kenkoka/gyomuannai/2/7/yobousessyusyouni/8663.html

中学1・2年生(15才未満)用  ※※ワクチンは2回接種でOK※※