帯状疱疹ワクチン

 2025年6月の丹波新聞コラム ママちゃん先生の診察室から

からの転載です。


今年の4月から帯状疱疹ワクチンの定期接種が始まった。多くの方は過去に水痘(水ぼうそう)に感染したことがある。その時から潜伏しずっと鳴りを潜めていた水痘帯状疱疹ウイルスが人間の抵抗力が落ちた時に再活性化すると、左右どちらかに痛みを伴う水疱が帯状に出現する。これが帯状疱疹だ。かくいうわたしも27歳のときに右太ももにでた。その時は椅子に座るのが痛くて、右のお尻を浮かして仕事をしていた。帯状疱疹自体も痛いが、やっかいなのは水疱が消えてからも痛みが残る帯状疱疹後神経痛だ。

それらを防ぐのが生と不活化の2種類ある帯状疱疹ワクチンだ。接種を受ける際は自分でどちらかを選択しなければならない。どちらにもメリットデメリットがある。生ワクチンは皮下注射で、接種回数は1回でよく価格が安い。ただ、高齢の方では抗体が付きにくく、効果は5年程度といわれている。不活化ワクチンは、筋肉注射を2回受けないといけない上に価格が高い。しかし、高齢の方でも10年くらい効果が持続すると言われている。どちらのワクチンも初めての接種に対して自治体から補助金がでて、従来よりも安い値段で受けられる。

患者さんに「わたしはどっちを受けたらよいですか?」と聞かれることが多い。年齢も体力も人それぞれ違うので、どちらが正解ということはないと思う。自分で納得して接種するのが一番よい。だから、今日もわたしは忌憚なく過不足なく説明を続ける。