朝顔

 丹波新聞 2022年7月17日 ママちゃん先生の診察室より


朝顔

 

今年もそろそろ小学1年生が朝顔の鉢を家に持ち帰る時期になった。夏休みになったら朝顔の観察をして花の数を数えるのだろう。

長女が1年生の時も、毎日朝顔の花を数える宿題があった。長女の朝顔は初めこそちらほら咲いたのだが、8月に入ってからは全く咲かなくなった。毎日「夏休みのしおり」に並ぶ000の行進。長女は悲しくなり、観察に飽きてしまった。一方わたしは焦った。ベランダの一番いい場所にうつし、適宜栄養も与えながらせっせと水やりをした。つるは伸び、葉は青々と茂り、とっくにプラスチックの支柱では足りなくなって継ぎ足したネットにもどんどん絡みついていった。

長女は寝返りや歩き出しもひらがなを覚えるのも、ほかの子より少し遅かった。といっても、今になって思えば8割くらいの時間じりじりとした上昇で、後の2割くらいでぽんと伸びてなんとかみんなに追いつくという感じだったのだが。子どもの成長は直線的な右肩上がりなわけがなく、昨日よりどこか成長していたら花まるなのに、わたしはいつも遅い遅いとやきもきしていた。

結局「夏休みのしおり」の朝顔のページは0が並び8月は片手ほどしか咲かなかった。咲きだしたのは910日。20輪以上一気に咲いた水色の朝顔と前歯の抜けた満面の笑顔の長女が写っている写真は、わたしに「待つ」ということをいつも思い出させてくれる。