またね!

 丹波新聞9月4日付の「ママちゃん先生の診察室から」に「またね!」というタイトルでコラムを書きました。

わたしはめっぽうスイカが好きで、毎年誕生日にはケーキと丸いスイカをプレゼントにもらっていたし、最後の晩餐でもスイカを食べようと心に決めているほどだ。今年もたくさん食べたけど、もう今年のスイカも終わり。

 今年は各地で数年ぶりの花火大会が催された。ぱーっと花火が広がって、そのあとドーンと音がおなかに来る。でもほんの一瞬で消えていく。今年の花火も終わり。

 夏休みに旅先のエレベーターで、金髪だけど日本人ぽい顔立ちの少年と乗り合わせた。黙っているのも気づまりなので「何年生?」と声を掛けたら、「スウェーデンでは3年生、でも日本だと2年生。」と元気に教えてくれた。その後、ほんの一言二言会話して、わたしの降りる階になり「お先に!」といったら「またね!」と返してくれた。

 高校の親友と初めて家族ぐるみで遊んだ。お互いのこどもは年も近くすぐに打ち解けた。イギリス人とのハーフの女の子で、家庭内での会話は英語だけど、わたしたちとは日本語で話をしてくれた。お別れの時こどもがもらったメモには「またね」と書かれていた。

 彼女たちは「また会いましょう」と強く思っているわけではないし「またね」というのは外国ではよく使うあいさつなのだろうけれど、親しみの伝わるとてもいい言葉だと思った。こどもたちから贈られたこの夏のプレゼント。わたしも使ってみよう。スイカも花火も夏も。「またね!」


私事ですが、先日祖母を亡くしました。いつもどおり、火曜日に丹波の中川内科医院で仕事をして、一緒に夜ご飯を食べて「またね。」と別れて、その1日後に倒れてそのまま旅立ちました。年齢に不足はなく、あっぱれな引き際だったと思います。

最期に交わした言葉が「またね!」というのはうれしかったな。