人という楽器

 年末は紅白歌合戦を楽しみました。正直前半は知らない人も多くて用事を片付ける時間にあてていたけれど、後半は目も耳も釘付けとなりました。加山雄三さんの歌を聞くと、言葉がひとつづつ伝わってきて歌そのものになんて包容力があるんだろうと驚きました。MISIAさんやSuperflyの越智さんもまるで体から音が発散されているような迫力でした。

元日は録画してある「年の初めはさだまさし」を見ました。さださんの歌も平原綾香さんの歌も体から言葉がほとばしってわたしの体に染み込む感じがしました。

ふだん音楽はステレオを通して音だけで楽しんでいるけれど、テレビという映像を通すだけでも、こんなに人の歌声は伝わってくるのだなあと思いました。

1月3日は、新春文楽公演の初日です。わたしはここ何年か初日に行く機会に恵まれています。今年は檀浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)の名場面阿古屋琴責の段を観ました。        折に触れて文楽のことをこのブログに書いているけれど、文楽というのは、太夫さん、三味線さん、人形遣いさんの三役でする人形劇です。太夫さんは自分の声で心情や場面を伝えます。太夫さんの体は言葉を伝える楽器です。体の中で言葉が共鳴して、劇場に反響してわたしの心に届きます。

1月5日は、劇団四季のオペラ座の怪人を観に行きました。オペラ座の怪人を見るのは17年ぶり。キャストが誰なんて全然知らないまま観に行きましたが、情感たっぷりの歌声、華やかな舞台に胸が高まりました。怪人のクリスティーヌへの愛や哀しさが歌声となってほとばしり、わたしの心も体も震えました。本当に感動。大満足。

年末年始は、人が自分の体をまるで楽器のように奏でる歌のすばらしさを体感しました。                                                           共通するのは「伝わる」ということ。よくその内容を理解し、伝えたいというパッションがあるからこそ伝わる歌、届く歌になるのだと実感します。

わたしも、伝わる言葉・届く言葉で話したり文章を書いていきたいと思います。